インランドエンパイア
デビッド・リンチの新作、『インランドエンパイア』を観た。
新宿ガーデンシネマで観たんだが、映画館に入ってビックリしたのは、「狭い」ということであった。スクリーンは多分150インチくらいだし、定員は56名。金持ちの家のシアタールームに遊びに行ったみたいな感覚か。そりゃ満員にもなるわな。
内容は単なる「デビッド・リンチの映画」で全く期待を裏切らなかった。意味が全然分からないシチュエーションが延々3時間続くだけ。ストーリーは説明なんてできない。でも面白いんだよなあ。ものすごい不思議。ただ今回はなんとびっくり、俺のビデオカメラと全く同じ機種を使っているので、どうしてもDV特有のノイズや階調の少なさ、ピントのあまさが気になったかな。
無理矢理解釈しようと思えば、できないこともないと思うし、リンチの新作が公開される度にそうやって「リンチの世界」を論じている人もたくさんいるが、俺はそんなのどうでも良いと思うね。多分そういうのはほとんどはずれているだろうし、映画の楽しみ方として面白くない。いいでしょ、訳の分からないものは、訳が分からないままで。
そうやって、必要以上に情報を集めて「穴」を埋めようとすると全然面白くなくなっていく。「想像の隙間」がないと表現は本当につまらない。最近はWEBなんかが発達してしまって、色々な情報が手に入るが故のつまらなさみたいなのが目立つ。
リンチは「訳の分からないものを、訳の分からないまま作る」ことができる天才なので、正解なんて存在しないはず。いいじゃん、それで。
今回の『インランドエンパイア』は前作『マルホランドドライブ』によく似ていると思うんだけど、それよりも全然先にいっちゃった感じがする。最早常人には到達できない領域。
リンチの作品はどんどんものすごくなっていて、「リンチ金太郎飴状態」なのも素晴らしい。要するに映画作っても、絵を描いても、インタビュー受けても、ファッションもいつも白いシャツを一番上までボタンをとめて、太い打ち込みの良さそうなチノパン履いて、黒い革靴、変な髪形で、全てリンチでしかない。こりゃすごいよ。いいじゃん、それで。
ちなみに日本では、懐かしの裕木奈江が重要な役柄で大抜擢!みたいに話題になっていたが、本当どうでも良い役柄だった。ものは言い様だよな。
今回は素晴らしいもの見せてもらった。しかしながら、あんだけ小さい映画館が巨大な映画館と同じ料金ってのが納得いかない。
