2008年5月11日

ゆうぐれ

谷川俊太郎の詩が素敵だった。

 

ゆうぐれ   谷川俊太郎
 
ゆうがた うちへかえると
とぐちで おやじがしんでいた
めずらしいこともあるものだ とおもって
おやじをまたいで なかへはいると
だいどころで おふくろがしんでいた
ガスレンジのひが つけっぱなしだったから
ひをけして シチューのあじみをした

このちょうしでは
あにきもしんでいるに ちがいない
あんのじょう ふろばであにきはしんでいた
となりのこどもが うそなきをしている
そばやのバイクの ブレーキがきしむ
いつもとかわらぬ ゆうぐれである
あしたが なんのやくにもたたぬような

 

表層的な「死」というのはどうでもよくて、感じたことは、日常ってこんなもんだろうということ。全てはたんたんと起き続ける。日常ってこうだ。

「おやじをまたいで なかにはいると」という行が最高ではないか。