2010年8月14日

死にたくなるもの

昔から暗い音楽が好きだ。音楽に限らず、映画も本もそう。明るくて前向きなものはどうも好きになれない。ただでさえ生きてるってことは嘘臭いはずなのに、人生賛歌、歯が浮くような恋愛歌なんて聴けるはずがない。

人間っていつかは絶対死んでしまうわけで、それが俺はとても怖い。だからこそ死の匂いに惹かれるのかもしれない。逆のものに魅力を感じるということかな。徹底的に打ちのめして欲しい。

聴いたり見たりしていると死にたくなるものが大好きだ。自分のセンチメンタルスイッチを押しまくり、死にたくなるものがたまらない。だからと言って実際に死にたいとは思わないけれど。全力で生きてる。

「鬱だ」「闇」「病み」とかいった言葉を聞くけれど、よく聞いてみると全然そうじゃない。単にかまって欲しいだけだ。結局、愛だの恋だの言ってる歌や映画に中途半端に癒されているのがその証拠ではないだろうか。ちゃんとコミュニケーションを取らないで、よくもまあそんな自分勝手なことが言えると思う。おっさんの意見だけど。

死にたくなるものを見たり聴いたりしていると、センチメンタルと共に強烈な後悔の念が襲ってくる。自分が情けなかった、何も出来なかった事を思い出す。それを怒りに変え、まあ何とかやってきた気がする。たまに潰れるけど。

上の曲は当然森田童子。このライブ盤が最高な訳なのです。途中で入るギョッとする内容のMCも素敵。そして何より喋り声が素晴らしい。「~な訳です」が口癖らしいけどそこも何だかとても独特な訳です。

下の映像は死にたくなる映画No.1『ツィゴイネルワイゼン』。音だけの花火を見上げるシーンが死にたくなるポイント。素晴らしい映画。そして大楠道代が美しい。

2010年8月 8日

もう誰も愛さない

この動画おもしろすぎる。いくらなんでも素晴らしすぎるレベルだ。『もう誰も愛さない』91年製作なので、20年ほど前のドラマ。とにかく展開が速くて、当時ジェットコースタードラマと呼ばれていた記憶がある。

実はジェットコースタードラマというか、単にメチャクチャなだけで山口智子はレイプされるわ、観月ありさは銃で撃たれて死ぬわ(その前は記憶喪失)、吉田栄作は後半ヤッくんに刺されて半身不随になって山口智子の奴隷になるわ、その他もろもろ、もうとにかくメチャクチャのデパートみたいなドラマだった。

今見ても吉田栄作の「うぉぉぉぉぉ!」は寒気がする。確か殴られて「ぶはぅ!」ってのもあった記憶が。当時は確か丁度大映ドラマがなくなった頃だったので、更に大映ドラマをブーストさせた様な『もう誰も愛さない』は毎週楽しみであった。全話見たい。

2010年8月 6日

インセプション

クリストファー・ノーラン監督の『インセプション』を観てきた。どうもディカプリオって好きではないし、渡辺謙も格好良いとは思うけど、好きではないので観る前は微妙に不安な感じだったけど、面白く鑑賞できた。感想を書いてみる。

クリストファー・ノーランの映画って割と観ている気がするけど『メメント』以外面白くなかった記憶がある。『ダークナイト』は嫌いではないけど、面白い映画とは言えなかった。何だか盛り上がりきらないというか、寸止めとはまた違った冷徹な感じが馴染みにくい気がしていた。面白かったはずの『メメント』だって、時系列順にみてしまうとごく普通の映画だったりするし。

今回の『インセプション』は面白かった。何でだろう。何だか分かやすい映画だった気がした。全体の世界はP.K.ディックばりのメタ構造になっいるのだけど、割と丁寧に描かれているので混乱することがなかった。まるでディックの『虚空の眼』を縦に構成し直した様な物語構造。時間軸って横に流れると思うのだけど、それを上手に(映画という横に流れる時間軸の中で)縦に流している点も面白かった。

モヤモヤしたという感想をいただいたのだけど、多分それはこの映画が全然アクションシーンやらのハリウッド的な部分に気合が入っていないからではないだろうか。何だかスカッとしない。一応派手なアクションシーンはあるのだけど、全然演出が盛り上がってない。意図的に気合を抜いているとしか思えない。

多分そこはクリストファー・ノーランにとってどうでも良いことで、更に観ていて気がついたのは、描きたかったのは物語でもなく、「妻を失った主人公の悲しみと、そのどうしようもない喪失」というテーマなのかなと。そのテーマがかなり剥き出しになっていた映画だと感じた。だって物語なんてほとんどないし。だから俺にとって『インセプション』は結構分かりやすい映画だった。

映画批評家の町山智浩さんがおっしゃっていたけど、これはタルコフスキーの『惑星ソラリス』だと考えると分かりやすいのではないだろうか。確かに死んでしまった奥さんがずっと出てくる辺り、どうしようもない罪の意識に苛まれる辺り、全体に流れる黄昏感、似ている気がする。赤坂は未来都市(ソラリスには赤坂の首都高が未来都市として出てくる)として出てこないけど、日本は出てくるし。

確かに通常のハリウッド映画と比べるとモヤモヤする。俺も実はモヤモヤしているのだけど、それは結構心地の良いモヤモヤで、意図的に地味に隠された何かを必死に心理の中で探そうとしているモヤモヤなのではないだろうか。人間のすごいところって、映画にもアイデンティティを求めて心理的にシンクロ出来る所。モヤモヤして霧の向こうに何かありそうな映画を観てしまって、その喪失感にシンクロしてしまっている気がする。

出演者はディカプリオと渡辺謙はまあ気にしないとして、アリアドネ役のエレン・ペイジがとても良かった。地味なんだけど。ジェシカ・ハーパーみたいで素敵だった。そしてここの所見る映画に連続で出ているディリープ・ラオ。『スペル』『アバター』『インセプション』とここの所しょっちゅう見ている。よく出てるなあ。

そして劇伴も結構印象的で最後のクレジット観たら、ジョニー・マーがギターを弾いているのね。さすがThe Smith。暗さ爆発。で今何故か今The SmithのカバーをしているTreePeopleというCruzレコードのバンドを聴いてます。

アメリカでは大ヒットしているらしいけど、とても地味な映画。でもすごく丁寧に作られているし、観ても損はしない良い映画だと思った。あと予告等で言っている「アイデアを盗むスパイ」がどうたらみたいなのは全然映画の中にはないと思われます。物語がないので。